
賛否両論ある中、東京オリンピックが閉会。そして東京パラリンピックが開幕した。さまざまな議論の軸があることは承知しているが、ここではコロナ禍における開催という話題から離れ、テクノロジーや市場性の変化によってスポーツ観戦のスタイルが変化する可能性について書き進めていきたい。 【画像】高精度のボール軌道計測をビデオカメラで行う「ホークアイ」 東京オリンピック開催期間中には、「五輪はマイナースポーツの詰め合わせ」との表現があって議論を呼んだが、そもそも競技そのものに“マイナー”“メジャー”という概念がそぐわない。メジャー、マイナーの概念を生み出しているのは競技そのものではなく、競技を取り巻く経済的な価値の大きさを表現していることがほとんどだからだ。
しかし、それらを承知のうえでテクノロジー、インターネット、携帯端末、クラウドなどのテクノロジー進化や、それらがもたらす社会変革によってマイナーと言われるスポーツの環境にも変化が生まれることがある。 確かにオリンピック開催期間中でなければ、テレビなどのメディアでは目にしない競技も数多くあるだろう。しかし、どんな競技も環境の変化でメジャーへと育つ可能性もある。 ■「マイナー」と「メジャー」を分かつものは?
東京オリンピックの期間中、あるテレビ報道番組で、コメンテーターが「マイナースポーツの詰め合わせ」と五輪のことを表現したことに反発するツイートが話題になったことを覚えているだろうか。 コメントの内容を筆者なりに好意的に解釈すると「普段は光の当たらないスポーツが、速さや力強さなど多様な要素で引き立てられ、多様性を示す素晴らしい祭典」というものだった。 しかし、“マイナー”というネガティブな印象を持つ言葉と“詰め合わせ”の組み合わせは、どこかマイナースポーツをバカにしているかのようなニュアンスでも受け取れる。本意ではなかっただろうが、反発が起きても致し方ないところだ。
あらゆるスポーツはさまざまな歴史的経緯を経て“競技”としてのルールが整備されスポーツとしての形が形成されてきた。どの競技のほうが尊いかという議論に意味はない。 「マイナーなスポーツであることは確かだが、詰め合わせではなく“宝石箱”と言えばよかったのに」という意見が、筆者のSNSアカウントに寄せられた。競技に真摯に取り組むアスリートへの配慮は必要に違いない。 ここで筆者が興味を持ったのは、コメンテーターの意図はともかくマイナーとメジャーを評価する尺度とはどんなものなのだろうかということだ。
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