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大学発ベンチャーの「起源」(29) ダイバーテクノロジー - M&A Online

ダイバーテクノロジー(甲府市)はコンピューターシミュレーション技術を駆使したコンサルティングサービスを手掛ける山梨大学発のベンチャー企業。2020年12月に設立し、2021年3月17日に同大学が認定する初のベンチャー企業となった。

自動車の試作コストと開発期間を節約

山梨大学発ベンチャー称号記授与式では島田眞路学長が「本学初の認定となる大学発ベンチャーの本事業が地域活性化に貢献することを願います」と期待の言葉を述べ、同社社長である岡澤重信山梨大工学部機械工学科教授に認定証を授与した。

ダイバーテクノロジーは岡澤教授の研究成果を元に、コンピューターシミュレーションによる工業製品の性能評価や評価結果を用いた新たなスペックの提案、企画・設計・試作・性能評価といったモノづくりの各過程における業務効率化の提案、シミュレーション技術者の育成サービスなどを展開している。

自動車設計では構造部材ごとの性能評価や、デジタル人体モデルによる事故時の負傷状況を予測した安全対策支援などを提供。安全性を検証するために自動車の設計や部品開発では試作品を製作するが、高精度のシミュレーションで代替できれば新車開発にかかっているコストや期間を節約できる。

自動車の安全性向上に寄与するダイバーテクノロジーのシミュレーション技術(山梨大ホームページより)

複雑な現象を分析できるシミュレーション技術

同社のシミュレーション技術を支えているのは「非線形有限要素法」。力と変形、応力ひずみの関係が比例関係にない状態で複雑な構造物を小さな要素の集合体として、一次方程式に各節点の変位量の境界条件を代入して解く手法だ。

より複雑な現象を分析でき、強度の精密な評価や可視化ができる。変形やひずみなどのシミュレーションは自動車の安全性だけでなく、「走る」「止まる」「曲がる」「乗り心地」の解析にも利用できるため、応用範囲は広い。

その他にも機械部品が想定寿命よりも短くて故障が発生された際に、その原因をコンピューターシミュレーションで解明。製品寿命を伸ばすために機械部品の設計変更を提案し、実際の製品に応用された事例もあるという。

岡澤研究室は企業との共同研究実績も多く、ビジネスのパイプは太い。こうした研究実績がダイバーテクノロジーとの取引につながる可能性も高い。同社が手掛けるコンピューターシミュレーションというバーチャルな「計算」が、日本のモノづくりを支える力になりそうだ。

文:M&A Online編集部

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