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富士通研究所、非接触のマルチ生体認証技術を開発 レジなし店舗での実証実験を開始 - クラウド Watch

 株式会社富士通研究所は21日、顔認識において、マスクを着用していてもマスクなしと同等レベル、99%以上の高精度で本人特定が可能な認証技術を開発したことを発表した。

 富士通研究所ではこの技術を、顔認識による認証と手のひら静脈認証を組み合わせたマルチ生体認証において採用。富士通新川崎テクノロジースクエア内で実証実験中の、マルチ生体認証によるローソンレジなし店舗において、同日より、新方式の実証実験を開始する。その結果をもとに2021年度中の実用化を目指すとのことだ。

顔認証と手のひら静脈認証を組み合わせたマルチ生体認証
マスクを着用していても高精度な顔認証と、手のひら静脈認証のUIの改善

マルチ生体認証で手ぶら認証を実現する

 同日開催された記者説明会において、富士通研究所の生体認証技術の歩みとマルチ生体認証の意義を、株式会社富士通研究所 フェロー デジタル革新コア・ユニット長の増本大器氏が説明した。

株式会社富士通研究所 フェロー デジタル革新コア・ユニット長の増本大器氏

 富士通研究所では、1990年代から指紋認証を取り入れ、ノートPCや携帯電話などに採用してきた。また2000年前後から手のひら静脈を取り入れ、銀行ATMやノートPC、タブレットなどに採用してきた。さらに3年前からは顔認証技術を取り入れている。

 これらの技術について増本氏は「それぞれの生体認証にはいい面と悪い面がある。そのため、複数を組み合わせるマルチ生体認証が必須と考えている」と語った。

 富士通研究所の手のひら静脈認証の特徴として、増本氏は、他人受入率0.00001%以下の「高い認証精度」、体内の情報なので盗まれにくい「高い安全性」、指紋より抵抗感が少なく世界60か国で9400万人が利用している「高い受容性」を挙げた。

 また富士通研究所の顔認証技術の特徴としては、他人受入率0.001%以下の「業界トップレベルの認証精度」、顔写真などによるなりすましを防止する「高い安全性」、30か国以上の被験者で評価されている「評価実績」を挙げた。

富士通研究所の手のひら静脈認証の特徴
富士通研究所の顔認証技術の特徴

 こうした生体認証技術の利用分野として、増本氏が語るのが「手ぶら認証」だ。財布やクレジットカードを忘れても店舗で決済でき、チケットがなくてもイベント会場に入場可能になる。

 そこで問題になるのが照合時間。生体認証には、ユーザーIDでユーザーを特定してから生体情報で認証する「1:1照合」と、ユーザーIDを用いずに生体情報でユーザー特定と認証を行う「1:N照合」がある。手ぶら認証を実現するには1:N照合が必要になるが、すると生体情報をすべての登録と照合するため照合時間が増えてしまう。

 この照合件数は、スーパーでは数万人、ショッピングセンターでは十数万人、イベント会場では百万人規模、全国チェーンのコンビニなどではそれ以上になる。「手ぶら認証がいきるシーンでは数百万が必要だが、単一の生体情報のみの利用では1万人程度までしか対応できない」と増本氏は言う。

 富士通研究所ではこれを、マルチ生体認証技術で解決する(2018年10月発表)。まず、精度では手のひら静脈ほどではないが自然に撮影できる顔認証によって対象を絞り込んだうえで、手のひら静脈によってさらに対象を絞り込んで、最後に両方の情報で本人を特定して認証する。

生体認証技術による手ぶら認証と、大規模での利用の課題

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January 22, 2021 at 04:00AM
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