静岡市葵区の瀬名(せな)遺跡や藤枝市の寺家前(じけまえ)遺跡など、県内の発掘調査で出土した石器や木製品を、最新の自然科学技術で分析した研究成果を紹介する巡回展(県埋蔵文化財センター主催)が、伊東市の市文化財管理センターで開かれている。十二月二日まで。
「弥生サイエンス−弥生研究の新たな視点」をテーマに、弥生土器の底に残った農作物の圧痕(あっこん)、弥生時代後期に調理器具として使われた片口(かたくち)、古墳時代中期に住居の柱として使われた柱根(ちゅうこん)、太型蛤刃石斧(ふとがたはまぐりばせきふ)、木製鍬(くわ)の未製品など六十一点を展示した。
農作物の圧痕を最新技術で詳しく分析したことで、米だけでなくアワやヒエなどが見つかり、日本で稲作が始まったとされる弥生時代に、水田農耕のほかに畑で農作を営んでいたことがわかった。さらには作物の変化の中で用いる農耕具が、石から木に変遷していく過程も紹介され、当時の食を中心とした生活の実態を垣間見ることができる。
片口や柱根といった木製品の生活用具や、建築材の樹種(じゅしゅ)や年輪を、最新の自然科学分析手法で調べることにより、二千年以上前の弥生時代までさかのぼって、当時の気候変動の記録や年単位の樹齢が特定できるようになったという。
これらの貴重な出土遺物や最新研究データを紹介することで、県内の弥生時代研究に新たな成果が出ていることを広く知ってもらい、埋蔵文化財をより身近に感じてもらおうと企画した。伊東会場の後、十二月四日から二〇二一年一月十七日まで、三島市の市立図書館でも展示する。
展示時間は午前九時から午後四時三十分まで。入場無料。期間中は無休。問い合わせは市文化財管理センター=電0557(36)2182=へ。 (杉本三佐夫)
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