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「人文・社会科学」研究にも政府が介入? 科学技術振興の改正法、来年4月に施行 - 東京新聞

◆哲学や法学などが新たな適用対象

 国内の科学技術振興に関する基本的な政策を定める根拠となる科学技術基本法などの改正法が、来年4月に施行される。哲学や法学など「人文・社会科学」が新たに適用対象となり、政府は自然科学を含む全ての学問分野で施策を円滑に進められると説明する。だが、日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅義偉首相が任命拒否した問題を受け、学者側は法の運用によっては、政府が研究面でも介入を強めるのではないかと懸念を深めている。(中根政人)

 基本法では、適用対象追加のほか、幅広い分野での研究成果を経済や社会の発展に生かすとして、法の目的に「イノベーションの創出」を加えた。法律名も「科学技術・イノベーション基本法」に変わった。

 これらの変更の理由について、内閣府は人工知能(AI)の急速な発展などを背景に挙げながら「人間や社会のあり方と科学技術・イノベーションの関係が密接不可分になっているため」(担当者)と説明。「国がトップダウンで進展を求める研究と、研究者の自主性に基づく研究を組み合わせて、科学技術を全体的に振興していく」という。

 基本法によって、政府は重点項目などを盛り込んだ基本計画を5年ごとに策定。首相が議長を務める「総合科学技術・イノベーション会議」での決定や閣議決定を経て施策を実施している。同会議は、経済財政諮問会議などと同じく、内閣府の「重要政策に関する会議」に位置付けられ、関係予算の配分などで強い影響力を持つ。

◆担当相「過度な介入はしないようにバランスをとる」

 改正法は先の通常国会で6月17日に成立した。参院内閣委員会では、野党議員が「人文・社会科学でも、研究資金と引き換えに政府の政策的な介入がなされるのではないか」と指摘。竹本直一科学技術担当相(当時)は「過度な介入はしないようにバランスをとる」と不明瞭な答弁をしたものの、衆参両院の委員会でわずか計6時間審議された後、成立した。

 学者側は、改正法によって国策や産業界の要求に沿った研究ばかりが予算面などで優先されるようになると主張。政府に批判的な学者の研究が冷遇されることになれば、憲法23条が保障する「学問の自由」が揺らぎかねないと危ぶむ。

◆「学術会議の問題と根は同じ」

 国内の研究者約4000人が所属する「日本科学者会議」は改正法が成立する前後、問題点を訴える声明や決議などを発表してきた。会議の事務局長を務める井原聡・東北大名誉教授(科学史・技術史)は「日本の科学や技術、学術を政府の思惑通りに動かそうという枠組みで、学術会議の問題と根は同じだ」と話す。

 学術会議新会員への任命を拒否された6人のうちの1人、加藤陽子東京大教授(日本近代史)も10月23日公表のメッセージで「自然科学に加えて、人文・社会科学も『資金を得る引き換えに政府の政策的な介入』を受ける事態が生まれる」と懸念を示した。

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