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医療現場を技術で支える 「医療・医薬」の有望銘柄 - 日本経済新聞

カネカはアビガンの原材料を7月から富士フイルムに供給する

カネカはアビガンの原材料を7月から富士フイルムに供給する

「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、技術力に比べて株価が安い「技術割安株」を、工藤一郎国際特許事務の力を借りて探してみた。

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新型コロナウイルスが猛威を振るっているが、今回の災禍をきっかけに企業が持つ「医療・医薬」の技術にも耳目が集まる可能性が高い。今回の工藤特許探偵事務所は「医療・医薬」関連銘柄にスポットを当て、関連銘柄の中でも「YK値」に対して株価が割安となっている上位4銘柄を紹介する。

YK値とは、閲覧申請や異議申し立てなど、ライバル企業がその特許に干渉するためにかけたコストから算出した値だ。競合企業からの干渉が多いほど特許の価値が高いとみなし、保有特許価値に比べて時価総額が割安と評価される銘柄をピックアップしている(詳細は下囲み参照)。

第1位フロイント産業。薬剤の造粒・コーティング装置などを製造・販売する会社だ。装置の性能は錠剤の飲みやすさや保存性、さらには薬の効き目、作用時間なども左右するという。ニッチな分野だが、同社の造粒・コーティング装置の国内販売シェアは約7割と圧倒的。近年では、薬の取り違えを防ぐため、錠剤表面に高精度な印刷をする装置も手掛けている。高い技術力を評価され、2014年には経済産業省が選定した「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれている。

第2位住友精化は紙おむつの主原料であるSAP(高吸水性樹脂)を核に機能化学品、ガスなどを手掛ける化学メーカー。SAPの国内シェアは2位。医薬品分野では添加剤や手術用手袋・医療用チューブなどの原材料、麻酔用ガスなども扱っている。

第3位カネカ。樹脂製品、繊維製品の他、医療・医薬関連の製品も取り扱っており、カテーテル(血管や消化管に挿入し、薬液の注入や体液の排出を行う管)や、血液浄化システムに強みがある。また、医薬品の有効成分となる原薬も供給しており、直近では富士フイルムに「アビガン」(登録商標、一般名はファビピラビル)の原材料を供給することでも市場で注目されている。

第4位リケンテクノスは、様々な機械の部材となる樹脂材料やフィルムを製造している。医療用としては輸血等に用いる樹脂製のチューブなどを提供しており、滅菌をしても変色や亀裂などの劣化が起こりにくい樹脂材料を使用している点に特徴がある。コロナ禍でも医療施設内での滅菌が問題となっており、同社の材料が活躍する場面は増えていくと考える。

今回取り上げた銘柄は地味ながらも、医療に欠かせない重要な製品を供給している企業だ。今後とも活躍を期待したい。

YK値とは? 特許価値で割安株を探す方法
「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき割安株を探す。特許の経済価値は工藤一郎国際特許事務所が開発したYK値を用いる。YK値は、特許出願に対するライバル社からの成立阻止アクションにかかるコストから算出する。
独自に選んだテーマごとに各社のYK値と時価総額を図のような軸を持つグラフにマッピングすると、妥当と思われる近似曲線が浮かび上がる。この近似曲線から左に大きく離れている企業(図ではA社)は、特許価値、つまり技術力比で時価総額が低い(割安)と考えられる。

同事務所によると、A社の位置は2年ほどかけて近似曲線に近づいていく傾向がある。これは、特許技術が製品化されて収益に寄与。時価総額が膨らむためと考えられる。この連載では、業種ごとの近似曲線から、左への乖離が大きいほど、株価が割安な銘柄として扱う。

工藤一郎(くどう・いちろう)
弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。大阪大学工学部卒。NECで磁気ヘッド開発に従事した後、知的財産部などで特許実務に携わる。2000年4月に工藤一郎国際特許事務所設立。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

[日経マネー2020年7月号の記事を再構成]

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June 08, 2020
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