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働く場所に制限はない。社員全員が旅人として生きるシンクロの働き方 - ライフハッカー[日本版]

ユニークな制度やカルチャーを持つ会社のさまざまな働き方が集まる連載企画 「Workstyle Station」。今回お話を伺ったのは、デジタルマーケティング支援を行っている株式会社シンクロです。

シンクロはオフィスへの出社義務がなく、どこで仕事をしてもOKという究極のリモートワークを取り入れています。その一環として、定額で日本国内にある全国の拠点に住み放題となるサービス「ADDress(アドレス)」を福利厚生として導入しており、社員は全国各地にあるADDressの拠点に自由に行き、日々の業務をこなしているのだとか。

今回は、旅をしながら働く松谷一慶さんに、実際によく活用するという北鎌倉のADDress拠点でお話を伺いました。

今回お話を伺った会社:株式会社シンクロ

業務内容:デジタルマーケティング支援

エリア:世界各国(本社は東京都品川区)

オフィスの広さ:地球全部!

従業員数:9名

定時:なし

シンクロは出社義務がないって本当?

ないですね。オフィスで仕事をすることもありますが、最終的にはどこで仕事をしてもいいことになっています。

シンクロ 松谷さん
株式会社シンクロ 松谷一慶さん。メディア事業部部長。チーフ・トラベル・オフィサー(CTO)としての顔も持ち、これまでに訪れた国の数は100を超える。
Photo: 松島徹

松谷さんがシンクロに入社するきっかけとなったのは、世界一周旅行中に社長とイースター島で出会ったこと。

実は、社長もマーケティング業界では「旅するマーケター」として有名な、根っからの旅人なんだそう。そんな2人がいる会社ですから、オフィスで仕事をするなんて考え方は最初からなかったようです。

でも、「旅をしながら働く」ってまったく想像できません…。実際に松谷さんはどう働いているのでしょう?

具体的にどうやって働いているの?

たとえば、去年のゴールデンウィークは約3週間スイスに行っていました。

日本との時差の関係でリアルタイムに連絡がとれるのは午前中だけなので、早めに起床してその間がっつり働き、午後からは観光するという生活をしていました。

フリーアドレスやリモートワークといった柔軟な働き方を推進している会社も増えていますが、旅をしながら働くことを推進している会社はそれほど多くないはず。今の日本においては、かなり珍しい働き方ですよね!

スイスを訪れたときの1枚
スイスを訪れたときの1枚
写真提供:松谷一慶

「旅」にフォーカスした会社全体のイベントなどもあるんですか?

海外旅行で社員同士が仲良くなるのがシンクロ流です。去年だけでもモンゴルやブータン、中国、マカオ、香港、マレーシアなどを一緒に旅しました

「旅中、夜中まで話し込んだりするのでお互いの理解が深まるんです。そのおかげで、普段離れて仕事していても相手の言いたいことをきちんと分かり合うことができています

とにかく「旅をしようよ」というのがシンクロの社是のようです。だいたい、社長自身が「オフィスにいるのが週に1時間くらい」なんだそう。社長はレアキャラなんですね。

松谷さんが旅をする理由は?

想像力が豊かになるからです。

「旅をしていると、いろいろな人と出会ったり見たことのない景色を見たりすることで、自分の考えが整理されることがあります。また、相手がどういうことを考えているのかとか、考え方のバリエーションが増えるというのは旅の魅力だし、マーケターに必要な視点でもあると考えています」

たしかに、家と会社ときどきコンビニみたいな生活では新しい発見もありませんし、想像力も乏しくなってしまいます。やっぱり、非日常の空間に自分を置くというのは、いろいろな刺激があるんですね。

社員旅行のときの1枚
社員旅行でモンゴルを訪れたときの1枚
写真提供:松谷一慶

オフィスにいるだけでは浮かばないようなアイデアが、旅先で五感を刺激されてはじめて出てくることもあると思うんです。いつかその経験が活かされるときが来るでしょうね」

旅に出ることで自分の人としての経験値を上げ、幅広い知識を蓄えておく。そうすることで、仕事で行き詰まったときにおもしろいアイデアが思いつく可能性が高まる。

旅は仕事に対して即効性がある薬ではなさそうですが、あとからじわじわ効いてくる漢方薬のようなものなのかもしれませんね。

旅をしながら仕事をすると生産性は上がるの?

生産性は絶対下がるし、コミュニケーションは難しくなると思います(笑)

ですよね! やっぱり、チームメンバーとはある程度は顔を見て直接議論するほうが、生産性は上がるような気がします…。

シンクロ 松谷さん
Photo: 松島徹

「でも、だから旅をしないっていうのはなんとなく違う気がしていて。シンクロにおける成長というのは、純粋に仕事の効率を上げるということより、人間の魅力を上げるという側面が強くあります。かっこいい生き方を目指す上で、非効率な部分は絶対に必要だと思うんです」

もちろん、目の前にある課題を解決する、いわゆる『仕事力をつける』ことは大切。そのために勉強をしたりセミナーに行ったりといった経験を積むのは必要です。

でも、それ以上に仕事とどう向き合うのかという部分で人間性が重要な要素になると、松谷さんは考えているんですね。

ところで、どうしてADDressを活用しようと思ったの?

北鎌倉のADDress拠点で働く松谷さん
よく利用するという北鎌倉のADDress拠点で働く松谷さん。個人でADDressを利用するときもあれば、社員で1つの拠点に集まって仕事することも。
Photo: 松島徹

社員みんなが自由に旅できる環境をつくりたいと思ったからです。

「そのためには、旅のきっかけを会社がつくることが大切。やはり、旅の楽しさは実際に旅に出ないとわかりません。ADDressがそのきっかけづくりの1つになればいいなと思って導入しました」

シンクロでは、『ADDressを利用したい』と手をあげれば、誰でも全国の拠点を自由に活用してOK(※)。また、一定額までであれば交通費も会社が負担してくれるのだとか!

そのうえ、社員全体で月の9割以上をADDressで過ごすことを目標としているんだそう。旅人の集まるシンクロならではの発想ですね。

ADDressを導入してから、働き方はどう変わった?

ADDressの家守と会話を楽しむ松谷さん
ADDressの各物件には、家・地域での生活をサポートする「家守(やもり)」が住む。各地域に住む人々との会話を楽しむのも旅の醍醐味の1つ。
Photo: 松島徹

各々が旅行に出かけることがより一層多くなりましたね。また、誰かがどこかに行っていても「ああ、ADDressに行ってるんだな」という感じで旅が当たり前のことになってきている感じがします。

ADDressがあることで、より気軽に旅に出ることができるようになって、さらに“旅熱”に火が点いたよう。シンクロにとって、旅に出ることが日常の出来事になりつつあるようです。

コミュニケーションはどうしているの?

シンクロでは、「Workplace」というコミュニケーションツールを導入して、業務連絡などに活用しています。でも、日報を書いたり定時連絡などの義務は一切ありません

マーケティング支援という業務は、基本的にチームで1つの案件を担当します。となると、チームメンバー間のコミュニケーションはとても重要。

そんな中、みんなが旅していたら、働く場所も違うし、時差もある! それでもきちんと仕事が進む秘訣はいったい何なのでしょうか?

ベースとしての信頼関係を築くことだと思います。

「そのためにも、最初からバラバラで仕事をするわけではなく、ある程度の期間はオフィスをベースに仕事をしたり、旅に出かけたりしています。

日々の業務連絡よりも、一緒に時間を過ごして、人間として根っこの部分で仲良くなることのほうが重要かなと思っていて。その上でどれだけ好きなことができるかということ、それを認めあえることが大事だと思います」

最低限のルールさえ守っていれば、どこにいても何をやっていても自由。そんな自由すぎる働き方は、お互いの信頼関係が強いからこそできることなのかもしれません。

松谷さんが考える理想的な働き方は?

シンクロ松谷さん
Photo: 松島徹

自分の道を自分で選んで、それを誇れる働き方が一番だと思います。

「僕は、たまたまこういう働き方をしているというだけで、別にリモートワークが一番だとは思っていません。ずっとオフィスで仕事をする理由がちゃんとあって、胸を張って働ければすごくかっこいいと思うんです」

人によっては、快適なオフィスで効率よくサクサク仕事が進む働き方、いわゆる“働きやすさ”を重視する傾向がありますが、松谷さんはそこはあまり考えてないんだとか。

「働きやすくなくてもいいかなと思っているんですよ。食べやすいご飯よりおいしいご飯が食べたいみたいな(笑)。働きやすいことがいいことではなくて、楽しい仕事がしたいし楽しい働き方がしたい。そのためには少々働きにくくても、そちらの環境を選びたいと思っています」

ADDress利用者と会話する松谷さん
各地に住むADDressのユーザーと情報交換をしたり刺激し合えるのも、旅をしながら働くことのメリット。
Photo: 松島徹

もちろん、旅だって楽しいことばかりではありません。

「中米をバイクで縦断する旅をしていた頃、お金がなくなってしまって。ポケットに砂糖と塩と唐辛子だけを入れて生活していたときがあったんですよ。

フラフラしたら塩をなめて、元気がなくなったら砂糖を食べて。そして夜、バイクを止めて雨の中で野宿するとき、身体が冷えていると眠れなかったので、唐辛子をかじって身体が一瞬温まった瞬間に寝るという技を編み出しました(笑)

今は笑って話せるけれど、当時は地獄だったとのこと。想像もつかないですね…。

「でも、自分が好きでやってることなので。辛いから帰ろうと思えば帰れるわけですけど、バイクで中米を縦断したいと思って自分で決めたことなので、やりきりたいという気持ちだったんです。仕事も同じで、自分で決めてやっていることだから多少辛くてもやれるし、工夫もできるのだと思います

オフィスを捨てて、旅に出よう

シンクロは、社員教育のカリキュラムなどは存在しないとのこと。その代わり、社員にはどんどん旅をすることをすすめています

その理由は、純粋に人間力が上がるから。仕事のスキルを上げることよりも、人間としての魅力、かっこいい生き方を目指すことがシンクロのポリシー

フリーアドレスやリモートワークの導入など、働き方の多様性を模索した施策はいろいろありますが、松谷さんのお話を聞くと、シンクロの方針は究極の働き方であり人材育成なのではと感じます。

インターネットやモバイルツールが発達した現代。働く場所に制限はありません。シンクロのような働き方を今すぐ実践するのは難しいかもしれませんが、月に1回くらいは家でもオフィスでもカフェでもない見知らぬ土地で、見知らぬ人と見知らぬ景色を眺めることはできそう。

もしかしたら、それが自分の働き方を変えることになるかもしれません。

※ ADDressを法人契約で利用する場合、最新プランでは1つのアカウントを最大3名まで共有できる。一度にADDressを利用できるのは1名。

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写真提供: 松谷一慶

Photo: 松島徹

Source: シンクロ, ADDress

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