モトリーフール米国本社、2021年3月29日投稿記事より
電気自動車(EV)銘柄のバブルは、すでに弾け始めている可能性があります。
大手EVメーカーのテスラ(NASDAQ:TSLA)の株価は最高値から28%下落し、中国大手EVメーカーのニーオ(NYSE:NIO)は 同43%下落しています。
他にもEVに関わる特別買収目的会社(SPAC)チャーチル・キャピタルIV (NYSE:CCIV) やEV設備メーカーのブリンク・チャージング (NASDAQ:BLNK)、EVメーカーのニコラ (NASDAQ:NKLA)、自動車シャーシ・メーカーのワークホース・グループ (NASDAQ:WKHS)といったロビンフッド人気銘柄の株価も、ピーク時から大幅に下落しています(本稿執筆時点)。
一方でこれら銘柄のバリュエーションは、EV関連株が上昇を始めた1年~2年前と比較するとまだ割高です。
もしこれがバブルなら、EV関連銘柄はさらに大幅に下落する可能性があります。
同セクターは、1999年のドット・コム・バブルと類似する点が多くあります。
その中から5つを紹介しましょう。
1. 株価の急上昇
現在、テスラやニーオがEVセクターの巨大企業であるように、1990年代終盤は、インテル、シスコ・システムズ、マイクロソフト、オラクルがテクノロジー・セクターの巨大企業でした。
1995年初めから2000年にナスダックが当時の最高値をつけた時点にかけて、これらテクノロジー4銘柄は2150%(年率80%以上)上昇しました。
しかしナスダックがピークをつけた後に軒並み急落し、この間の上昇分をわずか1年足らずで失うことになります。
現在、EV関連銘柄も同様に急騰しています。
2020年年初以来、ブリンク・チャージングは約3000%、ニーオとワークホースは1000%上昇しています。
テスラの時価総額は一時1兆ドルに到達し、その時の株価は2020年年初から1000%の上昇となりました。
一方で1990年後半に見られたテクノロジー関連株の急騰は、長続きするものではありませんでした。
現在のEV関連株価も、これと類似するという見方が広まりつつあります。
2. IPOへの熱狂
ドット・コム・ブームでは、新規株式公開(IPO)への需要が急増しました。
投資家は、アマゾン・ドット・コムであろうが、2000年に破綻したペッツ・ドット・コムであろうが、“ドット・コム”と名のつくIPOであれば、積極的に買い上げたこともあり、ドット・コム・ブームと名付けられました。
同様に、現在の市場では特別買収目的会社(SPAC)を通じたIPO熱が高まっています。
1990年代後半のIPOの多くは、上場初日に株価が2倍を超えて上昇することが普通でした。
『フォーチュン』誌によると、インターネット関連銘柄の中には、上場初日に300%や400%の上昇を目標として設定するものもありました。そのような銘柄に対する投機的な熱狂があったのです。
一方今日では、IPOと比べて規制が比較的緩やかなSPACを通した上場が好まれています。
SPACを通じて上場したEV関連銘柄の中には、株価が高騰するものも出ています。
チャーチル・キャピタルIVの株価は、EVメーカーのルシッド・モーターと合併する前に約500%上昇していました。
ニコラは、創業者で前会長のトレバー・ミルトン氏を辞任に追い込んだスキャンダルが明るみに出る以前には、700%上昇しています。
1990年代に大きな実績がないまま株式公開した銘柄と同様に、現在では多くのEV関連銘柄が、売上や製品がないまま、計画だけで次々と上場を果たしています。
3. アマチュア投資家の殺到
ドット・コム・ブームは、E*トレードなどの新しいプラットフォームの登場で投資家がブローカーを通さずに手軽に取引やポートフォリオ管理が可能となったブレークスルーの時期と重なります。
株価が急上昇したこともあり、数多くの新規投資家が市場に参入しました。
今回は、ロビンフッドなどのモバイル投資アプリを使って新世代の投資家が取引を行っていますが、多くがEV関連株に集中しています。
ロビンフッドで最も人気のある100銘柄には、9つのEV関連銘柄がランクインしています。
テスラは2位、ニーオは5 位にランクインし、他には水素燃料電池のプラグ・パワーやフューエルセル・エナジー、さらにチャーチヒル・キャピタルIV、ワークホース、ニコラ、ブリンク・チャージング、中国のEVメーカーであるシャオペンなども入っています。
4. 高すぎる株価ターゲット
1999年当時、アナリストは急騰する株価に追いつくために、定期的に株価目標を倍に引き上げました。
高い市場の目標株価が株価の上昇を正当化するように見えたため、さらに目標株価を引き上げるというサイクルを生みました。
1998年終わりには、当時アナリストだったヘンリー・ブロジェット氏がアマゾン・ドット・コムの目標株価を当時の2倍である400ドルに設定したことで注目されましたが、それにより他のインターネット関連銘柄や、当時アマゾンの競合だった書店バーンズ・アンド・ノーブルやブックス・ア・ミリオンの株価までも上昇が誘発されました。
現在、市場でチアリーダーの役割を果たすのは、資産運用会社ARKインベスト・マネジメントのキャシー・ウッド創業者兼最高経営責任者(CEO)です。
同社のETFリターンは昨年、テスラの高騰などによって軒並み2倍以上となりました。
ウッド氏は2018年初め、テスラの株式分割調整後の株価目標を1000%上昇の600ドルと設定し、それが現実になりました。
ウッド氏は、同株価は今後さらに400%上昇して3000ドルになるとしていますが、その予想に対しては疑問視する声も多くあります。
5. 革新的なテクノロジー
EV関連銘柄と初期のインターネット関連銘柄は、どちらも大きなテクノロジーの革新を前提としています。
1990年代以降、インターネットにより、ショッピングやコミュニケーションから男女の出会いまで、現代生活のあらゆる側面が変化しました。
ドット・コム・ブームの課題は、インターネットが革新的なものかを定義することではなく、最終的には消えていく銘柄の中から、勝者となる銘柄を見つけることにありました。
現在われわれは、EV関連のテクノロジーがメインストリームになると確信できる地点に到達しています。最終的にほとんどの車はEVとなるでしょう。
カリフォルニア州などは、エンジン車を将来的に禁止する方向にあります。
フォルクスワーゲンやゼネラル・モーターズといった従来のメーカーは、EV車の大量生産に向けて事業を整備していますが、市場はそのような動きを好感しています。
EVは、エンジン車との競争に概ね勝利しつつありますが、だからといって全てのEV関連銘柄が勝利するとは限りません。数社がリーダーとなるか市場を独占するようになるでしょう。
しかし自動車メーカーの利益率は全般的に低いことを考えると、多くの銘柄は消えてゆく可能性もあります。
その現実を踏まえて、投資家は同セクターに対して冷静になった方が良いかもしれません。
1999年当時と同様に、最新テクノロジーのブレークスルーに対する熱狂がおさまれば、バリュエーションは最終的に、過去の平均値に戻っていくでしょう。
2021年も引き続き注目したいEV用バッテリー企業
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