ソフトバンクは2月4日、2020年度第3四半期連結決算を発表した。特にヤフー事業(※1)や法人事業において大きな増収増益を果たしたことから、第3四半期までの累計(2020年4月〜12月)にも増収増益(営業利益ベース)となり、通期予想も上方修正することになった。
(※1)ヤフー、ZOZOなど、Zホールディングス(旧ヤフー)傘下にある企業の業績
同日に行われた決算説明会では、4月1日付で社長に就任する宮川潤一副社長があいさつを行った。
ソフトバンクの通信事業の歩みと宮川副社長
旧ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)は2001年9月、子会社のビー・ビー・テクノロジー(後のソフトバンクBB→ソフトバンクモバイル→ソフトバンク)を通してADSL回線を利用したインターネットサービス「Yahoo! BB」の提供を開始した。これにより、ソフトバンクは「通信事業者(として)の入り口」に立つことになる(その功罪の説明は割愛する)。
宮川氏はかつて、ADSL事業者「東京めたりっく通信」「名古屋めたりっく通信」「大阪めたりっく通信」の社長を務めていた。これら3社がソフトバンクBBに吸収合併された後、宮川氏はソフトバンクBBの取締役に就任した。
旧ソフトバンクはその後、「インターネットは持ち運びできるべきである」という考えのもと、モバイル通信事業への参入を模索した。その一環として2005年4月、旧ソフトバンクの子会社であるBBモバイルは1.7GHz帯のW-CDMA(3G)の実験局免許を取得し、同年5月から実証実験を開始している。
しかし、旧ソフトバンクは、自力での参入から既存事業者の買収による参入に方針を転換。2006年4月にボーダフォン(後のソフトバンクモバイル→ソフトバンク)をヤフー(現Zホールディングス)と共同で買収し、モバイル通信サービスに本格参入した。
2006年6月、宮川氏はボーダフォンのCTO(最高技術責任者)となった。その後、宮川氏は米SprintのTechnical COO(技術面での最高執行責任者)などを経て、2018年4月からソフトバンクの副社長兼CTOを務めている。HAPSモバイルとMONET Technologiesの社長も兼任中だ。
テクノロジーを羅針盤に新たな常識を
スマートフォンが普及したことによって、現在は「ポケットにインターネット」が実現している。ある意味で、ソフトバンクのもくろみ通りだ。今後は、5G(第5世代移動通信システム)の本格的な普及期に突入する。それを踏まえて、宮川副社長は「5Gの時代はネットワークだけではなく、プラットフォームも提供したい」と語る。
ネットワークの側面から見ると、5Gは今までのW-CDMA(3G)やLTE(4G)と同様に通信インフラとして重要な役割を担う。それに加えて、スタンドアロン(SA)ネットワークへの移行が前提となるが、5Gでは「エッジコンピューティング」や「ネットワークスライシング」といったネットワークプラットフォームの構築も重要な鍵を握る。
宮川副社長は、ソフトバンクをインフラとプラットフォームの両面を熟知した「総合プラットフォーマー」として変革し、成長させていくという。イメージとしては、1つ1つの要素を「個別最適化」するのではなく、インフラとプラットフォームの構成要素を「全体最適化」することを志向しているようだ。
「テクノロジーを羅針盤にして新たな常識を作る」を合言葉に、宮川副社長は4月から社長としてソフトバンクのかじ取りをしていく。宮内社長は代表権のある会長ととして、新規事業の開拓と育成に注力し、宮川新社長を支える。
新しいソフトバンクはどのような姿になっていくのだろうか。楽しみである。
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