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ゴムと樹脂の化学結合による直接接着技術 - ゴムタイムスWEB

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH2」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 次世代に向けた接着・接合技術と最近の動向

ゴムと樹脂の化学結合による直接接着技術

㈱中野製作所 中山義一

1.はじめに
 近年、航空機や自動車、電気製品などの部品の軽量化や、機能・性能の向上、コスト削減のため、異種材料の接着、接合技術の必要性が高まっている。本稿では、弊社が製造技術を確立した、接着が難しいと言われているEPDMやシリコーンなどゴムとナイロン・PPEなどの樹脂を、化学結合により直接強固に接着させる技術『ラジカロック®』について紹介する。
 この接着技術は、成型金型内で接するゴムと樹脂の分子鎖を分子間架橋結合によってダイレクトに結びつける技術であり、強固な結合力と接着剤を使わないことが特長の接着技術である。
 この接着技術では、ナイロンやm-PPEなどの高性能樹脂の成型品に、ゴムを複合化した部品を製造することが可能となる。
 また、ゴムにも機能性を持たせることで、様々な用途や用法に合わせた製品を製作することができ、部品の軽量化や機能・性能向上・複雑形状の実現など、様々な付加価値を提供することができる。

2.ゴムは難接着
 ゴムは、摩耗・反発・緩衝などゴム特有の優れた特徴から、車のタイヤや防振材はもとより、紙幣などの搬送ローラーや靴底など、さまざまな用途に使用されている。
 しかし、EPDMやシリコーンゴムなどは、その物性から、様々な用途に使用されているのだが一般的に接着剤での接着が難しく、部品製作に苦労することが多い。
 このような背景から、ゴム部品を固定する母材には、接着剤を用いた相性の良い金属を用いることが一般的である。しかしながら、金属は高比重であるため重量がかさむため、自動車関連部品などに使用量を極力少なくしたい。という声が強まっている(図1参照)。

3.接着剤が使いづらい時代
 ものづくりの現場でも人体への安全性や環境への配慮が重視されるようになった近年、接着剤や表面処理剤に関する要望や悩みを聞くことが増えている。
 まず、接着剤そのものの問題として、有害物質の揮発や漏出などによる人体や周辺環境への負荷を気にする声が増えている。
また、接着剤の経年劣化によって剥がれるなど、部品の性能や品質を低下させてしまうという問題を気にすることも多い。
また、製造工程にも接着剤使用特有の問題がある。
 接着剤を用いる複合部品の製造では、接着前工程の荒らし処理や脱脂処理において有機溶剤を使用することが多く、作業員の健康への影響という点で問題となる。
 また、接着剤を塗布する処理では、塗布ムラや接着剤の溶剤成分の揮発などによる接着不良の発生や接着強度が不安定となることもある。また余計なところに接着剤が付いてしまったというようなトラブルに悩むことが多い。

4.接着剤を使わずにゴムと樹脂を結合
 そもそも接着剤では接着しにくいゴムと樹脂。しかも、接着剤による接着そのものを敬遠する製造現場が多い。ゴムを、樹脂などの軽量な素材に確実に固定し、かつ環境に優しい技術の開発を求める声が大きくなってきている(図2参照)。
 そこで、研究に取り組んだのが、ゴムと樹脂とを直接接着する技術である。
 この技術では、

全文:約4302文字

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