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Androidのアプリストアは「独占状態」、グーグルがエピックゲームズに敗訴したことの重み - WIRED.jp

Androidの公式アプリストア「Google Play」においてグーグルは競争を阻害し、連邦政府とカリフォルニア州の反トラスト法に違反している──。人気ゲーム「フォートナイト」の開発元であるエピックゲームズが「Google Play」の独占状態に関してグーグルを提訴していた裁判で、カリフォルニア州の連邦地方裁判所がエピック側の主張を認める評決を11日に下した。

この評決は、ライバル企業や規制当局、検察当局がインターネットの“ゲートキーパー”の力を抑え込もうと何年も続けてきた取り組みにおいて、大手テック企業にとって初の大きな敗訴となった。続く法的救済の段階では裁判官がグーグルのビジネス慣行に変更を命じるかどうかについて議論を精査し、早ければ数週間後にも最終決定を下すことになる。

グーグルが「Google Play ストア」において競合するアプリストアのダウンロードを許可したり、アプリ内でデジタルアイテムを販売する開発者と売上の多くを共有したりすることを余儀なくされれば、Androidユーザーはより多くのアプリの選択肢を低価格で見つけられるようになるだろう。しかし、グーグルが控訴すれば、このような変更は阻止される可能性もある。

「わたしたちは評決に異議を唱えるつもりです」と、グーグルで政府関係や公共政策を担当するバイスプレジデントのウィルソン・ホワイトは語る。「わたしたちはAndroidのビジネスモデルを守り続け、ユーザー、パートナー、そしてAndroidの幅広いエコシステムに深くコミットし続けます」

「アプリ開発者と消費者にとっての勝利」

この裁判は人気ゲーム「フォートナイト」の開発元で開発者向けツールなどで知られるエピックゲームズ2020年に提訴したもので、11月初旬から陪審員裁判として争われていた。9人の陪審員(10人目は裁判の序盤で脱落)は評決に至るまで3時間にわたって審議したが、製品や地理的市場の定義、これらの分野においてグーグルによる反競争的行為があったかどうかなど、11の問題に直面した。

エピックは、グーグルがスマートフォンのメーカーや通信事業者、アプリ開発者に対し、米国のAndroidスマートフォンへのダウンロードの95%以上を占める「Google Play ストア」との競争を制限していると非難していた。これに対してグーグルは不正な行為を否定し、その唯一の目的はユーザーに安全で魅力的な体験を提供することにあり、特にアップルやiPhone、「App Store」との競争に直面していると説明している。

今回の評決についてエピックは無署名のブログ投稿において、次のように記している。「評決は世界中のすべてのアプリ開発者と消費者にとっての勝利である。グーグルのアプリストアの手法が違法であり、独占状態を乱用して法外な料金を引き出し、競争を阻害し、イノベーションを損なっていることが証明された」。そのうえで規制当局や議員に対し、「アップルとグーグルのスマートフォンに対する締め付けに対処」する措置をとるよう求めている。

グーグルにとってさらなる悪いニュースは、 D.C.地区連邦地裁のアミット・メータ判事が、グーグルがウェブ検索の独占を違法に維持してきたかどうかについての判決を24年半ばに下すと予想されていることだろう。米司法省と米国のほぼすべての州・地域の検事総長が提訴したこの裁判の証言は、先月の時点で終了している。

21年に出たアップルとの同種の裁判の判決は、エピックにとってあまりいい結果ではなかった。このときカリフォルニア州の判事はアップルに対し、App Storeの慣行についてたったひとつの変更を命じている。判事はエピックが反競争的とみなしたほかのアップルの慣行のほとんどは、iPhoneのメーカーであるアップルがアプリ市場開発の投資を回収する必要があることで正当化されると判断したのだ。アップルは、この裁判を見直すかどうかについての最高裁の来年早々の決定を待っており、まだ応じる必要はない。

なお、今回の裁判においてグーグルは、なぜ裁判官ではなく陪審員に判断を委ねることにしたのかについて多くを語っていない。しかし、陪審員を選任する前夜に方向転換を図ろうとして失敗していた。

今回の裁判においてカリフォルニア州北部地区連邦地裁のジェームズ・ドナート判事は、この争いが裁判になることを阻止しようとし、和解を試みるようエピックとグーグルに何度も命じている。裁判所に提出された書類によると、グーグルの最高経営責任者(CEO)のスンダー・ピチャイとエピックCEOのティム・スウィーニーが12月7日に約1時間にわたって会談したが、和解には至らなかった。

グーグルは以前、48,000ものアプリ開発者と和解することで合意したが、ビジネス慣行に大きな変更を加えることはなかった。また、消費者グループや米国の50州すべての検事総長とも和解している。後者の和解の詳細は、エピックとの裁判の結果が出るまで公表されていなかった。

Androidエコシステムにおける脅威

11日の最終弁論で、エピック側の弁護士であるゲイリー・ボーンスタインは陪審員に対し、グーグルのAndroid OSはスマートフォンメーカーにとって唯一の選択肢だったと語っている。というのも、 アップルはiOSを自社で“独占”しており、ほかに選択肢がないからだ。

グーグルは唯一の選択肢であることで得た“権力”を、「Google Play ストア」のプロモーションを確約した端末メーカーや端末を販売する通信キャリアに対して行使していた。ときには、その他の知名度の低いストアをすすめる以上のことをだ。

グーグルはGoogle Play ストアでデジタル商品を販売するアプリ開発者に自社の課金システムを利用させ、売上の最大30%を手数料として支払わせている。さらにエピックによると、グーグルはGoogle Play ストアの代替となるストアを利用しないようにと、開発者に数百万ドルを支払っていたという。

グーグルは、AndroidユーザーがGoogle Play ストア以外からアプリをダウンロードすることを禁じてはいない。これに対してエピックは、利用可能な回避策はあまりに面倒であり、Google Play ストアの優位性がそれを裏付けていると主張した。「反競争的であるためにはライバルを完全に締め出す必要はありません。 競争が何らかのかたちで損なわれたり、制限されたりすればいいのです」と、エピック側の弁護士であるボーンスタインは語っている。

グーグル側の弁護士であるジョナサン・クラヴィスは最終弁論で、ユーザーと開発者の心を掴むためのアップルとの競争に焦点を当てていた。もし、アップルとグーグルがモバイルアプリの配信市場で有意義な競争をしていると陪審員団が判断していたら、グーグルと端末メーカーやアプリ開発者との取引を問題視することは難しかっただろう。

エピック側の弁護士のボーンスタインによると、グーグルの幹部はグーグルがアップルと競争していたと証言したが、過去10年間の社内コミュニケーションは、ほとんどがAndroidエコシステム内の脅威に対する懸念に集中していたという。例えば、開発者が支払う手数料の削減について、グーグルがアップルに対抗するまで1年半かかったという。

裁判で連邦地裁のドナート判事は、グーグルがいくつかの内部チャットのログを保全できなかった点についてボーンスタインが指摘することを許可し、その欠けている証拠がグーグルにとって不利なものであることを陪審員は推論できた。「わたしたちがもっている文書が不利なものであると結論づけることはできるだろうし、実際そうすべきです。しかし、グーグルが削除した文書は、さらに不利なものでしょう」と、最終弁論でボーンスタインは指摘している。

これを受けて陪審員たちは、「証拠の優越」という基準に基づいて評決を下した。すなわち、その主張が「真実ではないというよりも、真実である可能性のほうが高い」というわけだ。

評決から1時間後、裁判の大半を傍聴していたエピックCEOのスウィーニーと弁護士は法廷の外で記念撮影をしてから大きな黒いバンに飛び乗り、顔をほころばせていた。

WIRED US/Translation by Daisuke Takimoto)

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