「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家で、24年7月に発行予定の新1万円札の肖像となる渋沢栄一が、帰郷した際に滞在した旧渋沢邸「中の家(なかんち)」(埼玉県深谷市)が10日、リニューアルオープンした。19年から行われていた耐震工事など大規模な改修を終えて、一般公開が始まった。

中の家は1895年(明28)に渋沢の妹夫婦によって建てられた。これまでは外からの見学のみとなっていたが主屋の内部を初公開。煉瓦(れんが)製カマド跡のほか、渋沢が主人公の21年NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の一部セットも展示されている。80歳代ごろの渋沢の生前の姿を再現したアンドロイドが、故郷や仲間たちとの思い出を映像で紹介する「渋沢栄一アンドロイド・シアター」も公開された。

この日は、リニューアルオープンに先立ち、披露式典が行われた。式典には渋沢のひ孫で、渋沢栄一記念財団の相談役の渋沢雅英さん(98)も出席。雅英さんは約60年ぶりに中の家に訪れたといい「きれいになって見違えたが大昔に父(敬三氏)と何度も来た。懐かしい気持ちになった」と感慨深そうに話した。渋沢のアンドロイドについては「とても似ていると思う。ちょっと圧迫されました」と笑顔を見せた。