元都職員で橋のエキスパートとして知られる紅林章央(くればやしあきお)さん(61)が、近代から現在に至る東京の街づくりを担った土木関係者を紹介する「HERO(ヒーロー) 東京をつくった土木エンジニアたちの物語」を出版した。都市計画、水道、鉄道、橋の各分野の技術者の活躍を分かりやすく描いている。(加藤行平)
紅林さんは一九八五年に都庁入りし、建設局橋梁(きょうりょう)構造担当課長を最後に昨春、退職した。現在、公益財団法人東京都道路整備保全公社で橋梁担当課長を務めている。
都に在籍中、奥多摩大橋や多摩大橋など多数の橋の建設に携わり、新交通システム「ゆりかもめ」も手がけた。橋に関する著書も数多く出版しており、「橋を透してみた風景」(都政新報社)で二〇一七年度の土木学会出版文化賞を受賞した。
今回の本に登場する人物はいずれも一般にはなじみが薄い技術者が多い。「一般の人は東京をつくった技術者に関心がないかもしれないが、彼らがいたからこそ、今日の緻密で機能的、魅力的な街が生まれた」と紅林さん。
都市計画の分野では、関東大震災(一九二三年)で瓦解(がかい)した東京の再興を目指した内務省復興局で長官を務めた直木倫太郎(りんたろう)、震災後の東京市(当時)の全域の都市計画を策定した山田博愛(ひろよし)ら、発災後の東京の設計図を描いた技術者を紹介する。
水道、鉄道、橋の分野でも、現在の東京で現役で活躍する建造物にかかわった人々が登場。勝鬨(かちどき)橋を設計した安宅勝(やすみまさる)、横浜ベイブリッジなど東京や横浜で著名な橋を多数デザインした大野美代子ら、身近な建造物に関係した技術者を取り上げている。
意外な人物では、東京市で地下鉄計画を進め、後に新潟県副知事に抜てきされた野坂相如(すけゆき)。作家、野坂昭如(あきゆき)の父親で、養子に出された昭如との再会のドラマも紹介している。
専門用語はできるだけ避けて、分かりやすい単語、表現を心掛け、関係する写真もふんだんに盛り込んでいる。紅林さんは「東京の街づくりと、それを支えた土木技術は世界のトップレベル。東京の土木技術の建設史が、そのまま日本の建設史だ」と指摘する。
都政新報社刊。二百七十一ページ、二千二百円。
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