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量子テクノロジーなど63の重要技術を推進--豪政府が新戦略 - ZDNet Japan

 オーストラリアのScott Morrison首相は現地時間11月17日、重要なテクノロジーの保護と推進を目的とする新戦略「Blueprint for Critical Technologies」(PDF)を発表し、量子テクノロジーをその主役に据えた。

 「この新戦略では、国益にとって重要なテクノロジーを保護および推進するためのビジョンを示している。その狙いは、重要なテクノロジーの経済的機会と国家安全保障上のリスクのバランスをとることにある。新戦略は、国内での取り組み、そして、志を同じくする国々との協力を通して、これらのテクノロジーの開発促進を支援するための枠組みも提供する」(Morrison首相)

 「オーストラリアは、量子テクノロジーのいくつかの側面で、すでに世界的なリーダーになっている。世界クラスの研究能力と科学者を擁しており、繁栄する量子産業のための強力な基盤もある。今は、それを次の次元に引き上げるべき時期だ」

 新戦略では、オーストラリアの4つの目標が提示されている。具体的には、重要なテクノロジーと安全なシステムにアクセスできるようにすること、重要なテクノロジーに関して、信頼できる安全なパートナーとして認知されること、ソブリンIPを最大化するために、自国の研究の完全性を維持すること、そして、地域の回復力を支援して、オープンで多様な自由競争市場と安全で信頼できる技術革新を可能にする国際的な環境の形成を目指す。

 新戦略には行動計画(PDF)が添付されており、連邦政府が国家の重要なテクノロジーインフラストラクチャーを拡張する構想の一部として優先する重要なテクノロジーのリストが提示されている。行動計画では、重要なテクノロジーについて、国益を大幅に強化する、または危険にさらす能力を備えた既存および新興のテクノロジーと定義している。

 63の重要なテクノロジーのリストに含まれているのは、5Gと6G、高度なイメージングシステム、AIと機械学習、ブロックチェーン、高性能コンピューティング、保護サイバーセキュリティテクノロジー、ロボット工学、および量子のさまざまな分野だ。

 新戦略の行動計画では、オーストラリアの量子セクターの構築に1億1100万オーストラリアドルが投入されることも説明されている。オーストラリアの量子コミュニティーは、連邦政府が量子研究の商業化の支援のためにリソースを投入することをずっと求めていた。オーストラリア情報産業協会はそのことについて、「残念ながら、オーストラリアには国家量子戦略がないことを示している」と過去に述べたこともある。

 その予算のうち7000万オーストラリアドルは、量子商業化ハブの構築に割り当てられる。このハブは、オーストラリアの量子研究を商業化して、オーストラリアの企業が新しい市場や投資家にアクセスできるように支援するため、「志を同じくする国々」との戦略的パートナーシップを構築する責任を負う。

 「このハブは、民間の共同投資を呼び込むことと、そして、志を同じくする国々の同等の組織とパートナーシップを構築することを目的としている。最初のステップは、連邦政府が米国と締結した共同協力協定だ」(Morrison首相)

 連邦政府は、国家の量子戦略と量子テクノロジーの目論見書も作成する。この戦略は、オーストラリアのチーフサイエンティストであるCathy Foley氏をリーダーとし、さまざまな業界の利害関係者や専門家で構成されるNational Committee on Quantum(量子に関する全国委員会)によって決定される。

 科学技術担当大臣のMelissa Price氏は、「自国の研究を商業化するというオーストラリアの使命は、重大なものである。先頃の豪英米(AUKUS)協定で指摘されたように、量子テクノロジーが防衛や国家安全保障などの主要分野の産業にとってますます重要になっていることを考えると、なおさらだ」と述べた。

 新しいBlueprint for Critical Technologiesは、日米豪印(QUAD)が互いに情報を共有する方法についても、詳細な情報を提供している。新戦略の行動計画によると、新しい量子ハブに加えて、Australia-India Centre of Excellence for Critical Technologiesも構築される予定だという。このセンターは、「オーストラリアとインドの著名な2人の人物」が共同で運営することになっており、学際的な政策提言と関連製品の開発によって、商業分野や国家安全保障の重要な利害関係者に情報を提供することに注力する。

 新しい計画を発表した際、Morrison首相は、オーストラリアと英国、および米国の政府関係者が3国間のAUKUS安全保障協定の作業計画策定に着手したことも明かした。

 「作業計画には、情報、人員、高度なテクノロジーおよび能力の交換、共同計画、能力開発、買収、科学およびテクノロジーにおける共同研究、共通かつ補完的な安全保障と防衛関連の科学および産業基盤の開発が含まれる」(Morrison首相)

 Morrison首相によると、AUKUSの作業計画は、今後90日以内にAUKUSの各政府の指導者に提供される予定だという。

 オーストラリアの米国大使館の代理大使であるMichael Goldman氏は16日、Googleの「Future Initiative」プレスイベントに登場し、AUKUS協定によって、米国とオーストラリアの間でより多くのテクノロジーを共有できるようになると述べた。今回の多くの発表は、その発言に続くものだ。

 「このところ、潜水艦について、さまざまなことが報じられている。潜水艦は極めて重要ではあるが、AUKUS協定の本質は潜水艦だけではない。テクノロジーの共有や信頼関係の構築、さらに、両国の国民が多くの刺激的なテクノロジーで最大限の可能性を発揮できるようにすることも目的としている」(Goldman氏)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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