これからの未来社会で私たちが直面する社会課題の解決に必要なこととして、脱炭素社会の研究開発が注目されている。脱炭素化の実現に向けて最新技術の研究開発を進める東京大学大学院農学生命科学研究科教授の磯貝明さん、名古屋大学大学院工学研究科助教の織田晃さんに、研究の概要や脱炭素社会に向けての展望を聞いた。
植物繊維からなるセルロースナノファイバー
産業革命以降、人類は石炭、石油などの化石燃料を利用することで豊かな生活を築いてきた。その一方で、分解されないゴミの蓄積、海洋マイクロプラスチック問題、異常気象や地球温暖化などさまざまな問題が生じ、脱炭素社会の構築が求められている。脱炭素社会とは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を抑え、排出されたCO2の回収などを実現して温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする社会のことだ。
磯貝さんは、社会の脱炭素化に大きく貢献する可能性を秘める植物由来の素材、セルロースナノファイバー(CNF)をつくる技術を開発した。CNFは、木材から得られる製紙原料のパルプ繊維をさらに細かくほぐしたもので、太さは3ナノメートル(ナノは10億分の1)と髪の毛の3万分の1ほどしかない。これほど細いにもかかわらず非常に強く、化学的にさまざまな機能を付与することができるため、新たな工業材料として注目を集めている。
「セルロースは大気中から吸収したCO2を材料に、光合成によって作られるブドウ糖(グルコース)が直鎖状に連なってできています。樹木の重量の約40%を占め、地球上で最も多く蓄積されている高分子です。植物由来であるため再生産可能で、使用後、焼却処理しても大気中のCO2を増やすことにはなりません。化石燃料由来のプラスチックなどに置き換わっていけば、脱炭素社会に貢献できる素材です」(磯貝さん)。
産学連携で実用化が広がる
磯貝さんは大学院生のころからセルロースの利用について研究していたが、セルロース繊維を取り出すことは容易でなかった。転機は1995年に訪れた。オランダの研究グループがTEMPO(有機分子触媒)と呼ばれる物質を触媒に用いて、常温常圧で有機溶剤を使わずにデンプンを酸化したという研究成果を報告したのだ。磯貝さんは、TEMPO触媒をデンプンと同じ多糖類のセルロースにも応用できるかもしれないと考え、研究に取り組んだ。そして2006年、当時の大学院生とともに、大きなエネルギーを投入することも、有害な薬品を使うこともなく、パルプ繊維をTEMPO触媒で処理してCNFを得る技術を開発することに成功した。
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August 18, 2021 at 09:03AM
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