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動力機関を持つモノとしてのクルマが、社会インフラの一端を担う「ノード」になるとき、ハードウェアとソフトウェアの役割はどう変わるだろうか。自動車メーカーの研究者が考える10年後のインフラとデータフローの話を聞いた。
クラウドの裏側のブラックボックスを「自社で技術の手の内化」をする場合に必要な技術理解
2020年12月17日、トヨタ自動車がソフトウェアエンジニアを対象に「自動運転の社会実装に向けたシステム・インフラ研究最前線 クラウドの課題とトヨタが目指す『技術の手の内化』とは」と題したオンラインイベントを開催した。スピーカーとして登壇したのは同社コネクティッドカンパニー コネクディッド専攻開発部 主幹の松本直人氏だ。
現在、ソフトウェア開発に携わる技術者のほとんどがクラウドを当たり前に利用する状況だ。クラウドでコンピュータリソースを調達するのが当たり前の世代にとっては、クラウドの先で実際に何が起こっているかはブラックボックスであっても問題ない場合がほとんどだろう。データセンター間の接続などおおまかな情報への理解はあるかもしれないが、データセンターの中のケーブル配線がどうかといった事柄については、「ジブンゴト」にしにくいかもしれない。
松本氏は今後もクラウドは広く使われるが、システムの全てがクラウドにいくわけではなく、コンテナやクラウドデータベースが一般化したとしても「ある程度の規模まではクラウドで対応できるが、それが全てではない」と語る。
データフローの変化と「技術の手の内化」のスコープの変化
コンピュータシステムがまだ普及する前から情報処理を扱ってきた技術者にとっては当たり前のことが多いかもしれないが、インターネット普及後、クラウドサービスが一般化した世代のソフトウェアエンジニアにとって、物理環境のコンピュータリソースは「雲の上にあるよく分からない何か」でしかないかもしれない。
車載の電子機器もリソースが潤沢にあるため、ギリギリまでチューニングをして個々の部品ごとに時間を掛けてアクロバティックな最適化をする場面は少なく、極力普遍的な実装は標準化し、経済的な実装を目指す方向にある。多少のオーバーヘッドを許容しても、標準化や効率化、再利用性を重視して開発スピードを速め、早く別の開発に仕向けるのがトレンドだ。
だが、つながるクルマの自動運転が実現する世界を考えたとき、つながり続けるにはこうした従来の「常識」では対応仕切れず、非常にシビアなアーキテクチャ検討が必要な領域がある。
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