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東京・池袋の交差点で2019年4月、80代の男性が運転する車が暴走し、通行人を次々とはねて2人が死亡した事故を契機に自動車メーカーによる運転支援技術の開発が加速している。背景には高齢化社会における事故のリスクについて国民的議論を呼んだこの事故の後、遺族が事故防止につながる地道な技術の普及を求めてきたこともある。
国内メディアの報道などによると、池袋の事故で自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で起訴された飯塚幸三被告は旧通産省工業技術院で院長まで務めた元官僚だった。飯塚被告は昨年2月に起訴され、10月から始まった裁判では無罪を主張している。
アクセルとブレーキの踏み間違いがあったかが焦点になっているこの事故で妻の松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(同3つ)を失った松永拓也さんは「2人の命を絶対に無駄にしない」ためどうすればいいか悩んだ末、今後事故の犠牲になるかもしれない誰かの命を未然に救うことだと思い、交通犯罪被害者遺族の支援団体に参加。政府などに事故防止につながる技術や制度の普及を呼び掛けてきた。
松永さんらの取り組みもあって、自動車メーカーは衝突被害を軽減する自動ブレーキのほかペダルの踏み間違いや車線逸脱などの防止を柱とする既存の運転支援技術の改善を進めている。運転席で眠ったまま目的地に移動できる「完全自動運転」のような将来技術ほど派手さはないものの、事故防止に着実な効果があるためだ。
トヨタ自動車は昨年11月に投入した高級セダン「クラウン」の改良版で、体調急変などでドライバーの無操作状態が継続する場合、徐々に車両を減速させ自車線内に停車して救命作業をサポートする「ドライバー異常時対応システム」をレクサス以外のトヨタブランドの車で初めて導入。障害物の有無に関わらずアクセルの踏み間違いを検知すると加速を抑制する機能を設定した。
トヨタの広報担当者は、個別の事故との直接の関係はないと前置きした上で、高齢ドライバーのペダル踏み間違いによる事故が一昨年来、連続して発生して問題となったことで、高齢ドライバー向けの啓発活動など強化していく取り組みとともに運転支援に向けた技術開発のスピードをより速めることになったと述べた。
アイサイトも進化
08年に複数のカメラからの情報をもとに車周辺の情報を収集、分析して事故防止に役立てる「アイサイト」を業界に先駆けて投入した SUBARU(スバル)は昨年、改良版の「 アイサイトX」を新型「レヴォーグ」に初めて搭載した。
高速道路などでの渋滞時に一定の条件下でハンドルから手を放したままでの運転を可能にしたほか、カーブや料金所の手前で適切な車速に減速する機能などを新たに追加した。
スバルでは30年までに交通死亡事故ゼロを目指しており、今後同社ではカメラに人工知能(AI)を組み合わせることで制御や判断の精度を高めていく方針。アイサイトの開発を主導してきたスバルの柴田英司氏によると、こうした先端技術を大衆的な価格の車に搭載できるかがポイントになってくると述べた。
遺族の願い
日産自動車も独自開発の運転支援技術「プロパイロット」の拡大を計画しており、23年度までに少なくとも20の市場で20車種に搭載を見込んでいる。
池袋の事故を契機に高齢ドライバーによる事故を防ごうという機運が高まり、運転免許の自主返納が増加した。警視庁がまとめた運転免許統計によると、19年の75歳以上のドライバーによる返納数は前年比20%増となる35万428件に達した。
だが、松永さんは事故は「誰しもが起こしうるし誰しもが被害者になりうる」と指摘し、社会から高齢ドライバーを排除するだけでは解決につながらないのではないかと懸念しているという。
過疎化と高齢化で地方を中心に鉄道やバスの路線廃止が進む中、車が運転できなくなる高齢者は生活の足を失って孤立化する恐れもある。松永さんは「運転したくないがしないと生活できないという人も必ずいる」とし、高齢者と若者が「同じように豊かな生活を送るためにどうすればいいか」と考えるべきだと主張する。
政府の取り組み進む
長野県高森町在住の福島秀晃さん(90)は松永さんが想定するような地方に住む高齢者の1人だ。高森町は名古屋市から車で約2時間の山あいにある。人口1万人余りで福島さんの自宅から近いJR飯田線の駅には電車は1時間に1本程度しか来ない。
福島さんの子供は名古屋に住んでおり、妻は既に免許を返納した。免許を返上するよう求められても他に運転する人もおらず、「車がなければどうしようもない」と実情を話す。
国内で今年から新たに発売される全ての車に自動ブレーキの搭載を義務化するなど、政府も取り組みを進めている。65歳以上のドライバーを対象に、対歩行者衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違いによる急発進抑制装置が搭載された車などの購入に最大10万円を補助する「サポカー補助金」も昨年から始まった。
松永さんは政府や自動車各社の取り組みを評価した上で、過信を助長するシステムや技術であってはならないと述べ、着実に事故を減らすことができる技術の開発や普及を望むとした。
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January 19, 2021 at 07:00AM
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