
「科学技術立国」は過去の栄光なのか――。日本の研究力の地盤沈下に対する懸念が広がり、政府も危機感を強めている。研究の成果である学術論文は質・量ともに低下傾向が続き、世界の中での存在感の低下が著しい。大学の運営や研究費の問題に詳しい豊田長康氏は、日本が世界に
ノーベル賞受賞が続いたこともあり、日本の科学研究は世界のトップレベルだと思っている人は多いでしょう。残念ながら、この15年ほどで研究水準は急速に低下しており、今後、日本人受賞の確率は低くなるはずです。
各国の研究水準の指標となるのが、国際的に発表される学術論文。総数を比較するだけでなく、他の研究者に引用される回数が多い論文は影響力、注目度が高いとみなされます。
文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると、自然科学系の日本の論文数は、2004~06年の平均で米国に次ぎ2位でしたが、急伸する中国やドイツに抜かれて16~18年は4位に。引用数上位10%の注目度の高い論文はイタリアやオーストラリア、カナダにも抜かれ、16~18年は9位に沈んでいます。人口当たりの論文数を計算すると30位以下で、先進国から取り残された状況です。
英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が昨年発表した世界大学ランキングで上位200位に入ったのは、東京大(36位)、京都大(54位)のみ。論文の引用数が評価で大きな比重を占めるため日本の大学は苦戦し、安倍内閣が掲げた「23年までに世界のトップ100に10校以上」という目標は非現実的になっています。
なぜ、これほど研究力が低下したのか。中国のほか米国や欧州でも政府の研究投資額が増えているのに対し、日本は厳しい財政事情から、公的な研究投資額が停滞してきたことが大きいでしょう。
経済協力開発機構(OECD)のデータを分析すると、各国の論文数や政府の研究投資と国民1人当たりの国内総生産(GDP)は比例します。高い研究力が技術革新を生み、GDPを押し上げる原動力になることを多くの人に認識してもらう必要がありますね。
私は三重大学長時代の04~08年度、国立大学協会で大学病院の経営問題を担当し、各大学のデータの収集、分析を重ねる中で研究環境の悪化に危機感を抱きました。その後、国立大の財務・経営の調査に携わる独立行政法人の理事長を務め、個人的にも国際的なデータの分析などを続けています。
日本の研究力低下の推移をたどると、04年度の国立大学法人化に伴う影響が浮かび上がります。政府は、国立大が教員の人件費や研究費などに充てる基盤的な運営費交付金を年々削減してきました。
そのため、多くの大学が退職者の補充をしないなど新規採用を抑制しました。学生数は変わらないので教育や事務作業の負担が増え、研究に専念できる環境が損なわれた。若手にポストが回らず、不安定な数年間の任期付き雇用が増える要因になりました。
私は若い頃、米国の大学で研究に携わった経験がありますが、若手でも認められれば豊富な資金を得て研究室を構え、助手などを数十人雇っている教授もいた。日本の大学は分野ごとにポストの数が限られ、縦割りで硬直的な仕組みも残ります。近年、容易に研究職に就けない日本を離れ、中国へ流出する若手研究者が増える傾向には少し心配をしています。
もっとも、大規模な有力大に投じられる研究費は増えています。政府は運営費交付金を削減するとともに一部を傾斜配分し、公募型の競争的資金などを拡大する「選択と集中」を進めてきました。政府が重点を置く特定分野に巨額の資金が投入され、研究費が集まりやすい東大や京大と、財政基盤の弱い中小規模の大学との格差は拡大しています。中堅大学では、若手を育てる研究室の維持にも苦心する状況です。
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January 31, 2021 at 06:46AM
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来客数予測システム、老舗食堂がAI使い開発…「科学技術立国」復活予感の現場 - 読売新聞
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