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【Bizクリニック】食を根本から変えるテクノロジー模索 - SankeiBiz

 大量のデータを収集・分析することによって、人工知能(AI)の活用領域が広がっている。食の領域でも同じだ。自然が持つ可能性を引き出して、消費者に価値として提供し、それを再び自然に還元していくには、化学肥料や農薬といった「化学」ではなく、「科学」を追求するテクノロジーが欠かせない。情報の解析、マッチング、センシング(計測・判別)を通じて、食を根本から変えるテクノロジーを模索していきたい。(Wow-Food社長・辻慶穂)

 作物にはエネルギーの波動がある。データを解析してテクノロジーを生み出せば、肥料の種類、量、タイミングや散水、収穫時期など最適なメンテナンスができるようになるだろう。これによって作物の致死率や収穫量、味・栄養に変化が起こる。

 半面、弊害もある。科学を追求すればするほど作物は“温室育ち”で弱くなる。筆者は商社時代に海外の大規模農場を経営した際、ハリケーン被害に遭った。栽培施設が破壊され、作物は半分くらいが死にかけた。苗に多めの発酵堆肥を与え、水も多めに供給して生命力を保つことに努めた。死んだ苗は取り除いた。

 その結果、蘇った苗は強く、収穫量も作物の有効成分も過去最高だった。つまり、テクノロジーは作物の「ストレス耐性」を包含したものでなければならない。

 米国では種の遺伝情報を保持するDNAをコントロールしている。巨大な農場を少人数で経営するためには、センシングではできないからだ。これに対して欧州は、種のDNAを操作するのは良くないと考え、作り方に工夫をこらす。筆者は欧州派だ。DNAをいじれば、種の可能性をつぶしてしまう。

 Wow-Foodでは植物性発酵飲料「Wow-Kombucha」を開発・販売している。「健康に良い」「お通じを良くする」「海外で広がっている」という理由以上に、筆者自身が微生物の可能性を感じて開発した。微生物がどう学習し、生存のための最適を探り、外部環境に応じて変化していくかをデータ化すれば、食のあり方が大きく変わる。「Wow-Kombucha」の菌は生存期間が40~50年の長老菌で、その知恵による最適指令を他の菌にも出していくとみられている。

 食品はつくることが先ではなく、何が求められているかが先にあるべきだ。食のテクノロジーによって、農場と実際の消費のマッチングを図ることができれば、フードロスをはじめ多くのことが解決する。世界のテクノロジー企業とともに、一緒に生きるリビングフードブランドとして新たな社会価値を生み出していきたい。

【プロフィル】辻慶穂 つじ・よしのり 法大経卒。ユアサ商事、西本貿易(現西本Wismettacホールディングス)を経て、2015年Wow-Foodを設立。素材本来の力を生かしたもぎたて低温搾汁のジュース「Wow-COLD PRESS」や、植物性発酵飲料「Wow-Kombucha」などを開発・販売。46歳。石川県出身。

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