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コロナ禍から「再起動」するための新テクノロジー100の技術 - J-CASTニュース

   寒さが日々厳しくなるなか、新型コロナウイルスの感染第3波が襲来している。なかなか出口が見つからないが、ワクチン開発など好転の兆しはある。

   「日経テクノロジー展望 コロナに立ち向かう100の技術」は、新型コロナウイルスを抑えるための技術や、ウィズコロナやアフターコロナの新しい生活様式を支えると思われる新技術100件を選んで紹介。これらの技術を、来たる好転のときに、企業、ビジネスパーソンの「再起動」を促している。

「日経テクノロジー展望 コロナに立ち向かう100の技術」(日経BP編)日経BP
  • 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

    新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

  • 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

ワクチン開発めぐる懸念

   本書では、日経BP専門誌の編集長30人が新型コロナに関連したテクノロジーを選び、医療、生活、仕事、移動、場所、基盤という6分野に分けて詳しく解説している。新型コロナウイルスをめぐって最も注目される「新技術」といえば、治療薬やワクチン、さらには遠隔診療の動向であり、もっと卑近な生活や仕事に関連することでは、すでにさまざまなシーンに持ち込まれつつある非接触や非対面の技術だろう。

   ワクチンといえば、米バイオテクノロジー製薬のモデルナが2020年12月1日(日本時間)、開発中のワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請した。

   本書によると、モデルナのmRNAワクチンは、2020年7月末には米国で3万例を対象に、新型コロナ感染症の発症率を主要評価項目の一つに設定して第3相臨床試験に入ったことが報告されている。

   モデルナは生産についてスイスのバイオテクノロジー企業、ロンザと提携しており年間10億本規模の生産能力の確保を見込んでいる。

   世界保健機関(WHO)の調べでは、今年7月14日時点で、前臨床段段階以降にあるワクチンの開発品は約160品目。そのうちの26品目について7月末までにヒトに投与する臨床試験を開始。そこから5品目が有効性を検証する最終段階の第3相臨床試験に至っている。

   第3相臨床試験は、モデルナが3万例を対象としていたように、規模が大きい。それが相次いでスタートしている状況だが、ワクチンを世界に供給することを考えると複数の開発が必要である。そのため、懸念されているのが、臨床試験のための流行地域の奪い合いの可能性だ。

   「1品目当たり1万人を対象に大規模臨床試験を実施すると仮定すると、100品目のワクチンを評価するには100万人の被験者が必要になる」とは、ある国内企業幹部の指摘。奪い合いを避けるためには、試験の進め方に工夫が必要になる。

   本書によれば、新型コロナ感染症は今後、世界各地で流行と収束を繰り返しながら徐々に季節性の疾病になっていくのではないかと見る向き多く、流行がみられる複数の国・地域を組み合わせて試験を進めることが考えられる。

   ワクチンについてはmRNAやDNAなどの遺伝情報を基に体内で抗原となるタンパク質をつくらせる新しいタイプの開発が進められている。ある人には安全でも、別の人にはそうではない場合もある。日本医師会は5月に「エビデンスが十分でない候補薬を拙速に承認すべきでない」とする提言を発表していることも忘れてはならないだろう。

非接触・非対面、ドローン宅配に注目

   一方、コロナ禍では、なにごとにも非接触や非対面の仕様が歓迎されるようになり、当初はドローンによる物流に大きな期待が寄せられたものの、規制緩和の遅れやルール作りの難航、社会の受け入れが進まないなどの理由で、なかなか浮上しなかった。

   ところが、コロナ禍の長期化の影響もあり、米シリコンバレーの新興企業を中心にドローンによるコンタクトレス配送の取り組みが始まっている。

   米国では、感染者の数がケタ違いに多くなっている。そのため、マスクや手袋などの防護用品や医薬品などをドローンで配送する環境づくりに積極的だ。1回のフライトにかかるバッテリーの電気代は微々たるもので、また、配送元から目的地までほぼ直線で行けるので配送効率も高い。広い庭などがありオープンスペースを確保しやすい米国の住宅事情には適した配送手段だ。

   米サンフランシスコで2014年に設立されたドローン専門の配送会社、ジップラインは2020年5月から、ノースカロライナ州シャーロットで医療施設へ防護用品や医薬品のドローン配送を始めた。この取り組みは、同州の運輸当局が手がける試験プログラムの一環。感染拡大を抑える一助になるとして米連邦航空局(FAA)が認可した。

   コロナ禍がきっかけになって、米国では大手物流会社も医薬品のドローン配送に乗り出している。宅配大手UPSとドラッグストアチェーン大手CVSヘルスが今年5月から、フロリダ州の高齢者居住地域に住む約13万5000人に向け、医薬品をドローンで運ぶことにしたものだ。ドローンで地域のそばで運び、その後は配送車で個別に届ける。

   住宅地とスーパーマーケットなどの小売店が離れた場所にある米国では食料や日用品についても、コロナ禍でドローン配送の需要が急増。グーグルの兄弟会社でドローン配送を行っているウイングによると、この5月上旬時点でオーダーが週1000件ほどにもなったという。

   ドローンは、正確性、安全性が向上しており、ジップラインをはじめ米国各社は、米国以外の各国各地域でも、規制が緩和されていけば人手をかける陸路配送より安価に行えると考えている。

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「日経テクノロジー展望 コロナに立ち向かう100の技術」
日経BP編
日経BP
2400円(税別)

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