京セラは29日、独自技術を集めたコンセプトカー「Moeye(モアイ)」を公開した。物体を透明に見せる光学迷彩技術で外の映像を投影して“透明化”したダッシュボードや、キャラクターを空間に浮かび上がらせるディスプレイなどを搭載し、未来の車内空間をイメージした。
ダッシュボードは光学迷彩技術の専門家である東京大先端科学技術センターの稲見昌彦教授と共同開発した。表面に小さなビーズで覆われた反射材を使い、車前面の8台のカメラで撮影した光景を運転手の後方のプロジェクターから映し出す。透けて見えさせるだけでなく、3D映像を映すこともできる。将来の自動運転化を想定してハンドルなどの操作装置は排除している。
京セラ独自の技術も多数採用。ダッシュボード内部のディスプレイから上方の空間に結像させたオリジナルキャラクターが乗員に車内の装置などを案内する他、自然光に近いLED(発光ダイオード)照明や、パネルを操作した際に振動でクリックの感触を再現する技術なども取り入れている。
モアイは2018年に公表した同社のカメラやディスプレイなどの技術を搭載したコンセプトカーに続く第2弾。実際の走行や商品化は想定しておらず、今後は展示会などで公開していく。
同社の稲垣正祥・研究開発本部長は「新規のメーカーが製品やサービスを提案するというモビリティー(乗り物)世界の構造変換の中で、新しい領域をつくっていきたい」と話していた。
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