産業技術総合研究所は2020年7月13日、フロー精密合成を用いて、機能性化学品原料を連続で合成できる技術を開発したと発表した。
連続合成に成功したのは、芳香族アミン類だ。現行の合成法は、高価で入手困難な原料が必要な上、大量の副生成物を生じるなどの問題があった。また、現在広く用いられている遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応は、高価な芳香族ハロゲン化合物を原料とし、副生成物の除去に手間がかかるため環境への負荷が大きい。そこで安価で容易に入手できるフェノール類を出発原料として用いる、触媒的脱水型アミノ化反応に着目した。
脱水型アミノ化反応では、3つの反応(水素化、脱水縮合、脱水素化)が順序よく進行することで芳香族アミン類を合成できるが、バッチ法では同じ反応器の中で複数の反応が進行するため制御が難しく、望まない副反応も進行しやすい。そこで、今回開発した手法では、フロー法による精密有機合成を基に、触媒が充填されたカラム2個を連結して反応器とすることで、3つの反応を別個に精密制御することに成功した。
副生成物は容易に除去できる水や炭化水素だけで、環境負荷は小さい。今回開発した技術が実用化されることで、CO2排出削減や廃棄物の大幅削減だけでなく、機能性化学品生産の国内回帰につながることが期待される。
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