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ドイツBMWグループは2020年6月25日、3Dプリンティング(アディティブ製造=AM)の新しい施設「Additive Manufacturing Campus(以下、AMC)」を正式に開設した。場所はドイツ・ミュンヘンのすぐ北にあるオーバーシュライスハイムである。アディティブ製造による試作品と製品用の部品製造に加え、アディティブ製造に関する新技術の研究と同技術をグローバル展開するためのトレーニング機能を提供する。投資額は1500万ユーロ(約18億円)。最大80人の従業員を雇用し、金属やプラスチックを扱う約50のアディティブ製造システムを導入した。
BMWグループは2019年にアディティブ製造で約30万個の部品を生産している。同グループは1991年にコンセプト車用の試作品でアディティブ製造の利用を開始。2010年までにレーシングカーのウォーターポンプホイールなど金属だけでなくプラスチックも含めて、小規模ながら適用範囲を実製品へと拡大した。その後、実製品への適用はさらに広がり、「Rolls-Royce Phantom(ロールス・ロイス ファントム)」、「BMW i8 Roadster(BMW i8 ロードスター)」、「MINI John Cooper Works GP(MINIジョンクーパーワークスGP)」の部品など2012年以降で4つ以上の適用例があるという。
3Dプリンター部品の実製品適用で先行するBMW
2018年4月に日本で発売されたオープンカーBMW i8 Roadsterでは、当初はプラスチック射出成形品で強度不足が懸念された部品を、アルミニウム(Al)合金の3Dプリンター製部品に置き換えて強度向上と軽量化を両立した。2000万円を超える高級車だが、同社グループが量産車に3Dプリンター製部品を採用するのはこのときが初めてだった。
3Dプリンターで造形したのは「ブラケット」と呼ぶ部品。ソフトトップを格納する際に開閉する座席後部のトノカバーの先端部の左右に、1つずつ配置されていた。トノカバー本体と黒色の小さなプラスチック製カバーをつなぐ部品で、トノカバーの開閉時にはプラスチック製カバーの向きが変わる。
材料には、シリコン(Si)系Al合金鋳物材料AlSi10Mgを採用。この粉末を金属3Dプリンターで造形した。形状設計に位相最適化(トポロジー最適化)を活用して軽量化し、平らにならした粉末にレーザーを照射して溶融・凝固させ、積層していく「粉末床溶融結合」方式の3Dプリンターで製造した。十分な強度を持ちながら質量は約22gと軽い。
当初、この部品はガラス繊維を30質量%加えたポリアミド6(PA6 GF30)で成形していた。ところが、動的試験で強度不足が判明。そこで、材料の金属への置き換えを検討し、金属3Dプリンター製造部品の採用を決めた。結果、PA6 GF30品と比べて強度を10倍にできた上、質量を40%も削減できた。
マグネシウム(Mg)合金のダイカスト品も検討したが、特にコストの点で見合わなかった。新しいブラケットの生産量は数千個の見込みで、金型を要するMgダイカスト品では初期投資が掛かりすぎた。
加えて、金属3Dプリンターを使いながら、1個当たりの生産コストをできる限り抑えられるように工夫した。例えば、数十個の部品を同時に造形できるように、造形エリア内に効率的に配置できる形状に設計。造形プレートからの取り外しといった造形後の後処理にも配慮した。これらにより、生産個数が6万個までであれば、3Dプリンターの方がコスト面で優位になるという。
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July 29, 2020 at 03:00AM
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BMWの3Dプリンター技術30年が結実 80人雇用、50台集約の新施設 - ITpro
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