和服に欠かせない帯を専門に仕立てる職人として、六十年にわたって活躍してきた。最近は仕立ての技術を生かして、新型コロナウイルスの感染拡大で品不足となったマスク作りに取り組み、購入した人から「洗っても形崩れしない」と好評だ。
呉服店などから注文があった生地に、帯の堅さを調整する芯を入れて、使う人の体形に合った帯を仕立てる。長さ三メートルを超える帯作りでは、小さなずれが命取りとなりかねない。「ごまかした分だけ、完成品に狂いが生じる。帯を締めたときに初めていい帯かどうか分かる」。丹精した作業の先に、形崩れしにくい丈夫な帯が生まれる。
作る帯の種類は、顧客の要望によってさまざま。軽く結びやすい「九寸名古屋帯」や礼装などに用いられる「袋帯」。取り外し可能な付属品を使って、どちらの帯にもなる「名袋(なぶくろ)帯」を自ら考案した。家にある生地を用いて帯を作る市民向け講座を開くなど、和装文化の普及にも努めている。
石川県輪島市出身。いとこで、東京都内で帯専門の仕立屋を営んでいた師匠に十七歳で弟子入りした。「周りは全員女性で、叱られる役はいつも自分に回ってきた」と振り返る、厳しい修業に約十年間耐え、二十六歳の時に独立し、「帯康」を設立した。
当初は見向きもされなかった。帯を担いでバスに乗り、朝から呉服店に売り込んで回ったが、注文は来ない。「試しに」ともらった仕事は、帯一本でも全力で取り組んだ。「約束の期限は必ず守り、客に満足してもらえる仕事をする」。そうした心掛けで仕事を続け信頼を得るようになった。二〇一五年には横浜市から、優れた技能者である「横浜マイスター」に認められた。
マスクは、マイスターを支援する団体「横浜マイスター友の会」を通して三月に製作依頼があった。顔の形は人によって異なる。どのサイズが顔にフィットするのか、何度も試作を重ねたという。きめ細かい生地で作られた三層構造のマスクは、洗っても形崩れしにくいと評判で、すぐにリピーターがついた。
「マスク不足の状況に少しでも役に立てばという気持ちだった。帯仕立ての仕事は、まだ世間には認知されておらず、和装文化に興味を持ってもらえれば」 (土屋晴康)
<帯康>修業を終えて独立した1970年5月に設立した。和服用帯の縫製加工を手掛ける。呉服店などから注文を受け、月約600本を製造している。従業員は11人。横浜市戸塚区深谷町92の2。電話045(851)7745。
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