【香港=田中靖人】「緊急状況規則条例」(緊急法)によるマスク着用禁止の「覆面禁止法」が施行されて初めての日曜日となった香港で6日午後、数万人のデモ行進が行われた。参加者の大部分は同法を無視しマスク姿で幹線道路を埋め尽くした。同日夕には、警官隊が居残ったデモ隊に催涙弾を発射し解散に乗り出した。
6日午後のデモ行進は、香港島の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)から金融街、中環(セントラル)までの幹線道路数キロで行われ、雨の中、数万人が参加した。会社員の女性(26)は「今日、抗議しなければ不当な法律を認めることになる。香港の法治が失われ、中国と変わらなくなる」と話した。警察はデモ行進中には姿を見せなかったが、夕方に一部が路上に留まり始めると、催涙弾を発射し早期の解散に着手。九竜半島の集会も含め複数カ所で強制排除に乗り出した。
地下鉄はこの日、全線の約半分の駅で乗り降りが可能になったが、午後9時には運行を停止。「施設修理」を理由としているが、夜間に市民が集まるのを防ぐ狙いもあるとみられる。
親中派の立法会(議会)議員で行政長官の諮問会議メンバーの葉劉淑儀(ようりゅう・しゅくぎ)氏は6日、マスク禁止に反発したデモ隊の一時的な過激化は「想定内」だとし、「長期的には威嚇効果で暴力を止められる」と強調した。
一方、高等裁判所は6日、民主派の立法会議員24人が求めた覆面禁止法の差し止め仮処分請求を棄却した。議員らは、立法会の審議を経ない緊急法による緊急立法手続きは香港基本法に違反するとして、司法審査も求めている。ただ、香港政府は16日からの立法会で、覆面禁止法の審議を改めて求める方針。民主派は「行政が法の制約を受けず、議会がゴム印を押すだけになる」と反発している。
2019-10-06 10:12:00Z
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